2019年12月11日、横浜市の林文子市長は上瀬谷通信施設(約242ヘクタール)跡地に、テーマパークを核にした複合施設を誘致する考えを発表し、市民の意見を募集していました。
その後、相鉄ホールディングスが提案していた「テーマパークを核とした観光開発」を軸とする土地活用策を採択し、現在「超大型テーマパーク」の実現可能性を検討しているようです。
この「超大型テーマパーク」構想について、現時点での最新情報を調べて見ました。
「旧上瀬谷通信施設土地利用基本計画」について
計画の概要
旧上瀬谷通信施設は、平成27年6月に返還された米軍施設の跡地で、面積約242haに及ぶ首都圏でも貴重な広大な土地です。
この返還された土地は、敷地の約45%が民有地となっており、これまで土地の地権者を中心に、将来の土地利用のあり方等について意見交換を重ねてきました。
こういった経緯を踏まえ、まちづくりの方針や土地利用の考え方をまとめるとともに、市民の皆様からいただいたご意見も踏まえ、「旧上瀬谷通信施設土地利用基本計画」を策定しました。
引用:横浜市ホームページ
- 事業名称:旧上瀬谷通信施設公園整備事業(仮称)
- 事業区域:横浜市瀬谷区瀬谷町、旭区上川井町
- 事業の種類:運動施設、レクリエーション施設等の建設
- 都市計画決定権者:横浜市
- 事業実施者:横浜市
計画地について
- 計画地の面積は約242haで、みなとみらい21 地区の約1.3 倍の面積で、首都圏でも貴重な広大な土地です。
- 東名高速道路の横浜町田インターチェンジや保土ケ谷バイパス上川井インターチェンジに近接し、計画地内を南北に環状4号線、計画地北側に八王子街道が通り、広域での自動車交通の利便性の高い地区です。
- 計画地内は、横浜市内でも有数のまとまった農地が広がっています。
- 計画地の南東側には、瀬谷市民の森、上川井市民の森、追分市民の森、矢指市民の森が連続しており、豊かな緑が広がっています。
- 土地の所有状況は、国有地と民有地がそれぞれ約45%ずつ、市有地が約10%を占めています。
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民有地の大部分は農業振興地域で、横浜市の農業専用地区に指定されています。
計画の内容
計画は、まちづくりのテーマと方針、地権者のまちづくりの考え方を踏まえて「4つの土地利用ゾーニング」を行ない、各ゾーンが連携することによって人やものが行き交い、将来的には年間1500 万人が訪れ、計画地全体の価値が向上するとともに、周辺地域へも波及していくことで、環境と共生した郊外部の新たな活性化拠点の形成を実現する、としています。
農業振興ゾーン(約50ha)
賑わい施設などと連携した農産物の収穫体験や、滞在しながら農の魅力を味わう農体験、ICT などを活用した質の高い農産物の安定生産と直売等による「収益性の高い農業」の展開、大学と連携した農業技術の研究など、他の地域へも波及する新たな都市農業モデルとなる拠点を形成します。
観光・賑わいゾーン(約125ha)
テーマパークを核とした複合的な集客施設が立地し、国内外から人を呼び込む観光と賑わいの拠点を形成します。
現在「超大型テーマパーク」の実現可能性を検討しているのは、このゾーンです。
東京ディズニーランドの面積が51ha、東京ディズニーシーの面積は49haですから、2つを合わせた面積よりもさらに広い面積です。
物流ゾーン(約15ha)
東名高速道路や保土ケ谷バイパスなどの広域的な幹線道路との近接性をいかし、新技術を活用した効率的な国内物流を展開する新たな拠点を形成します。
公園・防災ゾーン(約50ha)
国際園芸博覧会のレガシーを継承する公園や災害時における広域的な防災拠点(消防・警察・自衛隊などの受入に必要な広域応援活動拠点としての施設・機能や広域避難場所としての機能)などを形成します。
「テーマパーク構想」はどこまで?
横浜市の林市長は「テーマパークを核とした複合的な集客施設」を誘致する、と語っているように、気になるのはこの広大な面積に誘致するテーマパークの具体的な内容です。
中心となって事業を進めているのは相鉄ホールディングス。
複数の市関係者によると、テーマパークの事業者として、米大手映画会社の名が挙がっているということです。
映画会社のテーマパークといえば、ユニバーサルスタジオジャパン(面積:54ha)が挙げられますが、それ以上まだ具体的な情報は公開されていません。
今後新しい情報が入り次第、随時記事に掲載したいと思います。
事業のスケジュールは?
2027年3月、計画地で「横浜国際園芸博覧会」を開催
「国際園芸博覧会」は、国際的な園芸文化の普及や花と緑のあふれる暮らし、地域・経済の創造や社会的な課題解決等への貢献を目的に開催される国際的な博覧会です。
横浜市が招致した「国際園芸博覧会」は、「旧上瀬谷通信施設」で2027年3月〜9月の期間に開催されることが決定しています。
「横浜国際園芸博覧会」に関する詳しい記事はこちらをご覧ください。
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【横浜市瀬谷区】2027年3月上瀬谷通信施設跡地で開催予定の「横浜国際園芸博覧会」とは?
横浜市は、上瀬谷通信施設跡地において2027年3月から9月にかけて「国際園芸博覧会」を開催することを、2019年9月に発表しています。 「国際園芸博覧会」とは、オランダのハーグ市にある国際園芸家協会に ...
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テーマパークや跡地の商業利用計画は、この博覧会後になると思われます。
テーマパーク事業は、着工からオープンまで少なくとも2〜3年はかかるので、開業は2030年頃になるのではないでしょうか。
新交通システムによるアクセスの検討
なお横浜市は、この計画地へのアクセスとして、新たな交通計画を検討していると発表がありました。
「新たな交通」を検討
計画段階配慮書では、「計画地における大規模な土地利用転換に伴い、発生が想定される交通需要に対応し、横浜市郊外部の新たな活性化拠点の形成に資する、瀬谷駅を起点とした新たな交通(LRT、新交通システム、モノレールなど)の導入を図ります」としています。
新たな交通計画「都市高速鉄道上瀬谷ライン整備事業」について
「都市高速鉄道上瀬谷ライン整備事業」については、こちらの記事をご覧ください。
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【横浜市瀬谷区】大規模テーマパークへの新交通システムは2027年3月開業予定
去る2019年12月11日、横浜市の林文子市長は上瀬谷通信施設(約242ヘクタール)跡地に、テーマパークを核にした複合施設を誘致する考えを発表していました。 横浜市は、2027年3月〜9月にこの場所で ...
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周辺道路の整備
計画地における大規模な土地利用転換に伴い、東名高速道路や保土ケ谷バイパスなどの幹線道路から流入が想定される交通量の大幅な増加に対応するため、八王子街道など、都市計画道路の整備により道路ネットワークの強化を図ります。
旧上瀬⾕通信施設⼟地利⽤基本計画(2020年3月・横浜市)
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